DIY襖リノベーション
リノベーションが進み、畳からフローリングになり、照明もライティングレールを仕込んだりとモダンな空間に徐々に変わり始めました。ここでこの変化する空間に相応しくないビジュアルなのが「襖」である。襖がボロいまま取り残されていました。今回はこの襖をDIYによってセルフリノベーションしていきます。
襖の現状
まずは襖の現状をみていきます。これがさすがに築40年オーバーになってくると、その年月よくも耐えていたなという状態です。
パッと見た感じは全的に襖紙が黄ばんでいる程度に見えますが、触りよく観察してみると、紙は浮いてしまっているし、変な粉ようなものも出てきている。取手も錆が出てきてしまっている。
そしてモダンな仕上がりを目指すこの一連のリノベーションにおいては、和風の要素が強すぎる印象だ。フローリングに和襖がミスマッチ。
襖DIY事例が無い?
この襖がオシャレな家づくりの中で結構雰囲気を壊してしまい、襖の魅せ方はけっこう多くの人が悩んでいると思います。テーブルやイスに始まり、小物まで洋風な要素を含んだ物とマッチしてこないのです。だからこの襖をなんとかアレンジしたい!
襖のリノベーションにあたりアレンン事例なども探してみました。ありました。オシャレなアレンジの数々を目の当たりにしました。だが、どれも詳細な説明が無くハッキリ言って再現性が低い。
よく見かける襖DIYリノベーションの謳い文句、
「ベニヤを上から貼ってクロス仕上げで完成♪」
・・・残念ながらこれはそういう簡単な話じゃない。
建具は巧妙あり、作った人のさじ加減が凄い。今回は古いフチあり和襖を大4枚、小4枚の計8枚をモダンにリノベーションしていきます。
襖の解体
取手を外す
まずは襖に埋め込まれている、引手の取手を取り外していきます。引手の上下に釘で打ち込まれています。
これをペンチなどで引き抜いていきます。今回は襖が古すぎて、釘が錆びていたので、くぎ頭をペンチで掴むのも一苦労。
釘を抜くだけで取手は外せます。取手を再利用しない場合は取手が曲がってしまっても良いので強引にいきましょう。
襖紙を剥がす
続いて、襖紙を剥がしていきます。手で豪快に破り剥がしていきます。糊などで一部くっついてしまっている箇所はスクレーバーなどを使って削ぎ落します。
豪快に破り剥がすと、例のへんな粉が飛散しました!へんな粉と糊の対策として、剥がす前に霧吹きで水を吹きかけておくと良いです。
比較的新しい襖の紙の場合どんな感触かわからないですが、この古い襖紙はホロホロが破れ、簡単に剥がすことができました。
端の方は糊が残って、紙が剥がしきれていません。ワイヤーブラシで削ってしまいます。これで完全に下地のベニヤがあらわになりました。
下地のベニヤは驚くほど劣化していました。半世紀近く前のベニヤ版は裂け、状態は最悪です。
ワイヤーブラシはいろんなシチュエーションで活躍してくれます。安い物なので、送料無料の合わせにももってこいです。
襖縁の塗装剥がし
今回最大の悩みであった縁です。元の状態が光沢ある黒縁です。この光沢感こそが和室リノベーション後の空間にミスマッチなのです。和室においては高級感ある和風を演出している要素ではありますが、現在ではミスマッチ。
この艶あり黒色は漆塗りかと思いきや、調べていくとカシュー塗料であることが判明。今回この襖縁のカシュー塗料を剥がしていくのが最大の難関となった。
カシュー塗料の剥がし方を調べていくのですが、この情報が本当に少ない!!今ここにカシュー塗料の剥がし方を記していきます。
カシュー塗料は名の通り、カシューナッツ原料の超硬質な塗膜だ。エレキギターのボディなどがソレだが、削って剥がすとかいうパワー系の発想では通用しないシロモノ。そんなカシュー塗料を剥がすにはアイロンなどで熱を加えると剥がせるという情報もありましたが、そういうことじゃない。そんなチマチマやってられない。アイロンはシワでも伸ばしてろ。
そこで剥離剤というアプローチでブツを探しました。そして見つけました。コレ。
業務用、工業用の商品です。名は「ネオリバー」。直訳すると新しい川(?)。いや、普通にリバースの方か。
念のためメーカーにも木部カシュー塗装に使えるか問い合わせました。OKとのこと。ただし、”木焼け”を起こす可能性があるとのこと。”木焼け”という新出単語に少々戸惑いましたが、おそらくシミみたいになるのだろう。最終的には塗装剥離あとに研磨、塗装と仕上げるので木焼けはスルー。
補足情報ですが、メーカーに問い合わせたところ、これより木部カシュー塗装剥がしに適した「トレタン?(商品名)」という商品があるようだが、ネットのどこの販売店にも無い&メーカー公式ページにも商品紹介すら無いという幻のアイテム。情報が公開されるのを祈りつつ、直販できるかわからないが、気になる人は問い合わせてみよう。
いよいよネオリバーで襖のカシュー塗装を剥がしていく。空き缶に液体を注ぐ。色は透明。刺激臭。攪拌させる必要なし。今回は平和な作業と思っていたが、やはりハプニングが起きてしまった!
空き缶に注ぐ際に、一滴が飛び散り、二の腕内側の皮の薄い部分へ付着した。刺すような痛みとともに、ジュップスッ・・と二の腕から極々小さな煙が上がった。剥離作業が始まり、戦の狼煙?いやいや、
あっこれ、ヤバイやつ。
よく見ると、商品容器から滴る液体でパッケージ印刷が溶け始めている。
素人が取り扱って良いものか疑問を抱きつつ、手袋3重、防塵マスク、ゴーグルのフル装備へ衣装チェンジ。その後は小さめの刷毛で順調に剥離剤をカシュー塗装面に塗布。ジュワジュワと泡を出しながら、カシュー塗装に反応している!塗布後はしばらく時間をおく。
30分ほど放置すると、カシュー塗装が浮き上がっていたり、あまり変化していない箇所などまばらな状態。とりあえずこれをスクレーバーで削いでみる。綺麗に塗装が剥がれた箇所やカシュー塗装が残っている箇所あったりと、これもまばらな結果である。
ここでわかったポイントが2つ。
1つ目は、直射日光で表面温度が高い箇所に塗布すると、液体が早く気化してしまい効果が薄いということ。気温は高い方が良いが、日陰で塗布し、しっかり時間を置くと良いです。
2つ目は、剥離剤1回塗布ではゴッソリ全ての塗膜が剥がれるわけではないということ。変化が見られなかった箇所も実は薄皮のような塗膜が剥がれており、これをスクレーバーで削いだ後、もう一度剥離剤を塗布します。これを完全に下地の木材が見えるまで繰り返します。
特にカシュー塗装が厚く塗装されている箇所は何度も「塗布→乾燥→削ぐ」を繰り返します。乾燥時間が必要なので地味に時間がかかる。酷暑の中ひたすらスクレーバーで削ぐ。修行です。
これで襖縁のカシュー塗装剥がし完了です。
縁の研磨
剥離剤によって、剥がれた硬質なカシュー塗装ですが、まだまだ黒い塗料がっている状態です。これを研磨し、地の木の色へ戻していく。
方法はというと、やはり安く、楽に済ませたいので、ランダムサンダーを使用。このタイミングでランダムサンダーを購入しました。無名ブランドの有線電源のものだとかなり安い。
本当はマキタのバッテリー式が良かったのですが、我慢。
ペーパーは#80で削っていきます。
はじめてランダムサンダーを使用したのですが、驚くほど削れます。チカラは要りません。撫でるように削っていきます。ペーパーが安物のせいか、すぐに研磨力は落ちてしまいます。こまめにペーパーを取り替えます。
8枚もの襖となると、ランダムサンダーを使ってもなかなか時間を要します。
ランダムサンダーでは削れない、細かな箇所については、剥離剤をワイヤーブラシにつけてゴシゴシしてみます。ですが、あまり綺麗に剥がすことはできません。あまり目につかない箇所で後に塗装もするという言い訳で諦めます。
そして、ついに襖のカシュー塗料剥がしに成功しました。襖の枠木はこんな色をしていたのですね。カシュー塗料ガッチリ保護されていたのか、枠木はまだまだ使えそうです。
まとめ
襖リノベーションを進めて来ましたが、ボリュームのある作業となりましたので今回を解体編とし、ここで一度区切ります。
古い襖も素材の木がダメになっていない限り、まだまだ使用できそうです。当初は襖についてはイチから同サイズの物をDIYで作ることも考えましたが、価格面において必要資材を計算していくと、既存襖を再利用・リノベーションしたほうが遥かに安いです。やはり木材は安くないです。襖紙が剥がれた、取手が錆びた程度で襖の新調を考えている方は、価格はリノベーションが安いのでお勧めです。
今回の襖DIYリノベーションの中で最も苦労したのは、なんといってもカシュー塗装の剥離。強力な剥離剤とランダムサンダーをもってしても、それなりの時間がかかりました。襖1、2枚程度なら楽勝ですが、枚数が多いと大変であると覚悟しましょう。
次回は、いよいよ仕上げ編です。襖の枠木を塗装し、これまでの襖紙からクロス仕上げを目指していきます。
続きはコチラ>>>襖を壁紙でオシャレにDIYリノベーション②|セルフリノベーション.com